ギャンブルの問題は、本人が一番最後まで軽く見てしまうことがあります。
勝った記憶は残ります。負けた金額は丸めます。追加で入れたお金は「一時的」と考えます。家族に言っていないことは、「心配させないため」と説明します。
だから、時々は自分の気分ではなく、行動で見直した方がいいです。
このページは診断ではありません。医師の診断や専門相談の代わりにもなりません。ただ、今の遊び方が娯楽の範囲に収まっているのか、それとも生活の中へ入り込みすぎているのかを、落ち着いて見るためのチェックリストです。
公的なセルフチェックを使いたい場合は、ギャンブル依存症予防回復支援センターから案内されているギャンブル依存症セルフチェックもあります。このツール自体も、結果は目安であり、正式な診断は医療機関等で判断するものだと説明しています。
まずは直近30日で見る
「昔からどうだったか」ではなく、まず直近30日で考えてください。
一年分を振り返ると、言い訳も反省も大きくなりすぎます。直近30日なら、まだ具体的に思い出せます。
| 質問 | はい / いいえ |
|---|---|
| 最初に決めた金額を超えて使った日がある | |
| 途中でATM、追加入金、借入を使った | |
| 負けを取り返すために続けた | |
| 勝っていたのに、結局戻してしまった | |
| 時間を決めていたのに長引いた | |
| 家族や友人に金額を小さく言った | |
| 明細や履歴を見られたくないと思った | |
| 仕事、睡眠、食事、予定に影響した | |
| 賭けていない時も次の賭けを考えた | |
| やめようと思ったのに、またやった |
「はい」が一つあるだけで依存症という意味ではありません。けれど、複数あるなら、遊び方をそのまま続けるのは危ないかもしれません。
消費者庁のギャンブル等依存症でお困りの皆様へでは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールできなくなることで、日常生活や社会生活に支障が出ることがあると説明しています。見るべきなのは「どれだけ負けたか」だけではなく、生活がどれだけ動かされたかです。
お金のチェック
ギャンブルの影響は、最初にお金へ出ます。
ただし、口座残高だけを見ても足りません。現金で使った分、クレジットカード、後払い、友人からの借入、家族に言っていない支払い、支払いを遅らせた分も見ます。
| チェック項目 | 危ないサイン |
|---|---|
| 生活費 | 家賃、食費、光熱費、学費、返済予定のお金を使った |
| 追加資金 | 最初の予算を超えて何度も足した |
| 借入 | カードローン、消費者金融、家族・友人から借りた |
| 支払い遅れ | 請求書、税金、保険料、返済が遅れた |
| 明細隠し | 履歴を消す、封筒を隠す、カード明細を見せない |
| 勝ちの扱い | 勝ったお金を生活に戻さず、また賭けた |
| 負けの説明 | 「今回は特別」「次で戻す」と考えた |
月の収支を出す時は、勝った日だけを別にしないでください。勝った日も負けた日も、入れたお金と戻ったお金で見ます。
もし負け額を正確に見られないなら、まず負け額を記録するところから始める方が現実的です。
時間のチェック
お金の次に見たいのは時間です。
少額でも、長い時間を使っていれば、生活の中での存在感は大きくなります。深夜まで続いたり、予定を削ったり、家族との時間を減らしたりしているなら、金額だけでは見えない影響が出ています。
| チェック項目 | 見るポイント |
|---|---|
| プレイ時間 | 一回の時間が予定より長くなっているか |
| 回数 | 週に何回、月に何回になっているか |
| 深夜 | 睡眠時間を削っていないか |
| 仕事前・仕事中 | 集中力や遅刻に影響していないか |
| 家族の予定 | 約束を減らしたり、帰宅時間をごまかしたりしていないか |
| 休みの日 | 一日がほぼギャンブル中心になっていないか |
| 頭の中 | やっていない時も次の勝負を考えていないか |
時間の問題は、「勝っているから大丈夫」と一緒に隠れやすいです。でも、勝っていても生活がギャンブル中心になっているなら、点検する意味があります。
気持ちのチェック
ギャンブルそのものより、ギャンブル前後の気持ちに問題が出ることがあります。
| 場面 | よくある気持ち |
|---|---|
| 始める前 | そわそわする、今日は行かないと落ち着かない |
| 負けている時 | 取り返さないと終われない、今やめたら損だと思う |
| 勝っている時 | もっと増やせる、今日は流れがあると思う |
| 帰った後 | 後悔、自己嫌悪、不安、眠れない |
| 翌日 | 明細を見たくない、誰にも会いたくない |
| 家族に聞かれた時 | 怒る、話をそらす、嘘をつく |
楽しいから遊んでいるのではなく、不安を消すために賭けている。負けた後の苦しさを消すために、また賭ける。こうなると、賭け事は娯楽というより、気分の逃げ道になります。
JRAのギャンブル障害の解説では、ギャンブル障害という呼び方や、ギャンブル行動の見方について説明されています。自分を責めるためではなく、行動のパターンとして見ることが大切です。
嘘と秘密のチェック
ギャンブルの問題が深くなると、金額より先に秘密が増えます。
| 秘密の形 | 例 |
|---|---|
| 金額を小さく言う | 3万円を1万円と言う |
| 時間をごまかす | 残業、付き合い、買い物と言う |
| 履歴を隠す | 明細、アプリ、メール、通知を消す |
| 借金を隠す | 家族に言わない、返済だけ何とか回す |
| 負けた理由を変える | 急な出費、飲み会、別の買い物と言う |
| 勝ちだけ話す | 負けた日を言わず、勝った話だけする |
秘密があると、次のギャンブルがしやすくなります。誰も知らないから、また行けます。誰も金額を知らないから、また追加できます。
もしこの表に心当たりが多いなら、まず一人だけでも話せる相手を作った方がいいです。全部を一度に説明できなくても、「お金とギャンブルのことで困っている」と言うだけでも、秘密の力は少し弱くなります。
家族や仕事への影響
本人は「自分のお金でやっている」と思っていても、周りには影響が出ていることがあります。
| 影響 | サイン |
|---|---|
| 家族 | 会話が減る、怒りっぽくなる、生活費の不安が増える |
| 夫婦・パートナー | 明細、借金、嘘をめぐって揉める |
| 子ども | 約束を守れない、外出や買い物を我慢させる |
| 仕事 | 遅刻、欠勤、集中力低下、職場で賭けのことを考える |
| 友人 | お金を借りる、誘いを断る、ギャンブル中心の付き合いになる |
| 健康 | 睡眠不足、胃痛、不安、飲酒量の増加 |
厚生労働省の依存症対策ページでは、保健所や精神保健福祉センターなどの相談先が案内されています。ギャンブルだけでなく、眠れない、落ち込みが強い、家族関係が壊れそうという時も、相談対象になります。
点数をつけるより、強さを見る
チェックリストは、点数ゲームにしない方がいいです。
「はい」が何個なら危険、何個なら安全、と単純に切ると、自分に都合よく解釈しやすくなります。それより、次の三つを見てください。
| 見ること | 質問 |
|---|---|
| 頻度 | 何度も繰り返しているか |
| 強さ | 金額、時間、嘘、借金が大きくなっているか |
| 影響 | 生活、人間関係、仕事、健康に出ているか |
一回だけなら見直しで済むこともあります。けれど、同じ失敗が何度も起きているなら、単なる不注意ではなく仕組みを変える必要があります。
気になる項目が多かったら
チェックして不安になった時に、一番よくないのは「でも、まだ大丈夫」と流すことです。
次のうち一つだけでも、今日やってください。
| 今日できること | 目的 |
|---|---|
| 直近30日の負け額を出す | 現実の数字を見る |
| 次の給料日まで賭けないと決める | 一度、流れを切る |
| よく使うアプリを消す | 入口を減らす |
| 入場制限や利用停止を調べる | 使える制度を確認する |
| 相談先の番号を保存する | 衝動時に探さなくて済む |
| 一人にだけ話す | 秘密を小さくする |
| 借金があるなら相談先を探す | 一人で返済を回そうとしない |
ギャンブル依存症予防回復支援センターは、24時間365日・無料のサポートコールを案内しています。相談は、最悪の状態になってから使うものではありません。「このままだとまずい」と感じた時点で使っていいものです。
もう一度確認したい短いチェック
最後に、短い形で確認します。
| 質問 |
|---|
| 賭ける金額を、自分で決めた範囲に収められていますか。 |
| 負けた後に、取り返そうとして追加していませんか。 |
| ギャンブルのために嘘や隠し事をしていませんか。 |
| 生活費、返済、家族のお金に手をつけていませんか。 |
| やめようと思ったのに、また繰り返していませんか。 |
| 賭けない時間にも、次の賭けのことを考えすぎていませんか。 |
| 家族、仕事、睡眠、健康に影響していませんか。 |
この中に、見たくない質問があるなら、そこが一番大事な場所かもしれません。
セルフチェックは、自分を責めるためのものではありません。早めに気づくためのものです。数字、時間、嘘、家族への影響。この四つを見れば、ギャンブルとの距離はかなり正直に見えてきます。