賢く遊ぶというのは、勝ち方を知っているという意味ではありません。
ブラックジャックの基本戦略を知っていても、競馬のオッズを読めても、スロットの仕組みを理解していても、熱くなった時に追い金をするなら危険は残ります。知識は役に立ちますが、ブレーキの代わりにはなりません。
賢く遊ぶとは、最初の賭けをする前に「今日はどこで終わるか」を決めておくことです。負けた時だけではありません。勝った時にも終わる場所が必要です。なぜなら、勝っている時ほど「今日は流れがある」と思いやすいからです。
厚生労働省の依存症についてもっと知りたい方へでは、依存症を「やめたくても、やめられない」状態として説明しています。賭け事で怖いのは、本人が「まだ選べている」と感じているうちに、少しずつ選択肢が狭くなることです。
| 賢く遊ぶためにすること | それでできないこと |
|---|---|
| 遊ぶ前に損できる金額を決める | ゲームを有利にすること |
| 終了時間を決める | 負ける可能性を消すこと |
| 生活費を分ける | 感情を完全に消すこと |
| 勝った時の出口も決める | 毎回気持ちよく帰ること |
| 特典を「おまけ」として扱う | 特典を利益に変えること |
もしすでに借金、隠し事、家族との揉め事、睡眠不足、仕事への影響が出ているなら、このページだけでは足りません。その場合は先に 今すぐ助けを得る を読んでください。
遊ぶ前に決めることは少なくていい
ルールを十個も作ると、かえって守れません。最低限、次の三つだけは決めてください。
| 決めること | 自分に聞く質問 |
|---|---|
| お金 | いくらまでなら、完全になくなっても生活に響かないか。 |
| 時間 | 何時にやめるか。何分で一度席を立つか。 |
| 追加資金 | 負けた時、どこからも追加できない形にしているか。 |
一番大事なのは三つ目かもしれません。多くの人は「今日は一万円まで」と言います。しかし財布に別のカードが入っている。スマホで入金できる。近くにATMがある。友人に借りられる。そういう状態では、限度額はルールではなく、ただの希望になります。
本当に上限にしたいなら、上限を超える手段を持ち歩かないことです。
お金のルール
遊びのお金は、生活のお金から切り離します。
これは当たり前に聞こえますが、現場ではよく崩れます。最初は余ったお金で遊んでいたのに、負けた後で「少しだけ戻したい」と思う。戻すために別の口座を見る。カードを使う。翌日の予定を削る。ここから流れが変わります。
| 悪い形 | ましな形 |
|---|---|
| 財布や口座の残高を見ながら決める | 先に決めた一つの金額だけ使う |
| 負けたらATMに行く | ATMカードを持たずに行く |
| クレジットや借入で続ける | 借りる必要が出た時点で終了 |
| 勝ったら全部を次の賭けに回す | 勝った分の一部または全部をすぐ分ける |
| 「今日は特別」と言って上限を上げる | 上限変更はその日にはしない |
消費者庁のギャンブル等依存症に関する案内では、多重債務や貧困、家庭内の不和など、ギャンブルによる生活上の問題にも触れています。お金のルールは、単に損を減らすためではなく、生活を巻き込まないための線引きです。
時間のルール
お金だけを見ていると、時間の危険を見落とします。
長くいるほど、疲れます。疲れるほど判断が雑になります。雑になるほど、最初に決めたルールを軽く扱います。カジノでも、公営競技でも、オンラインでも、時間が長くなると「もう少しだけ」が増えます。
おすすめは、終了時間を二つ作ることです。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 通常終了 | 90分で終わる。21時30分に帰る。 |
| 強制終了 | 負け額に達した、眠い、酒が入った、イライラした、誰かに嘘をつきたくなった。 |
通常終了は予定です。強制終了は安全装置です。
アラームを一つだけにすると、止めて終わりになりがちです。できれば二つ使ってください。一つ目は「あと15分」。二つ目は「終了」。最初のアラームでトイレに行く、飲み物を買う、外に出るなど、ゲームから体を離すのが大事です。
勝っている時のルール
負けている時だけが危険だと思う人は多いです。でも、勝っている時にも判断は崩れます。
勝つと、賭け金が大きくなりやすい。普段ならしない選択をしやすい。飲み物や食事、特典、友人の盛り上がりに引っ張られやすい。そして最後に「せっかく勝っていたのに」と後悔することがあります。
勝った時のルールは、単純でいいです。
| ルール | 例 |
|---|---|
| 利益を分ける | 予算が倍になったら、最初の元金をしまう。 |
| 勝ち額で終了する | 予定額より一定以上勝ったら、その日は終わる。 |
| 賭け金を上げない | 勝っても最初の単位を変えない。 |
| 特典で延長しない | ポイントや無料プレイのために終了時間を伸ばさない。 |
勝ちを守る一番確実な方法は、プレイを終えることです。シンプルですが、これ以上の方法はありません。
特典・ポイント・ボーナスとの距離
無料プレイ、ポイント、招待、食事、宿泊、ランク、ボーナス。こういうものは、プレイヤーにとって得に見えます。実際、何かを受け取ることはあります。
ただし、それを取るために予定より長く遊ぶなら、無料ではありません。特典のために追加で負けるなら、それは買い物より高くつくことがあります。
| 言い聞かせたい言葉 | ありがちな危険 |
|---|---|
| 「特典はおまけ」 | 特典を取るために予算を超える |
| 「招待は命令ではない」 | 呼ばれたから行かなきゃと思う |
| 「無料プレイにも時間がかかる」 | 無料分の後に自分のお金を足す |
| 「ランクは生活より下」 | ランク維持のために無理をする |
特典は、あなたを長く滞在させるために設計されています。感謝して受け取るかどうかは自由ですが、行動を決めさせてはいけません。
酒・疲れ・怒り・孤独
調子が悪い時に遊ぶと、賭け事は気晴らしではなく逃げ場になります。
逃げ場として使い始めると、負けた時に帰りにくくなります。なぜなら、負け額だけでなく、もともとの嫌な気分まで戻ってくるからです。そこで「もう一回だけ」となりやすい。
| 状態 | その日の判断 |
|---|---|
| 酒が入っている | 賭けない、または予定より早く終える |
| 眠い | 遊ばない |
| 怒っている | 遊ばない |
| 寂しい | 誰かに連絡してから決める |
| 借金や支払いが気になっている | 遊ばない |
| 負けを取り返したい | その日は終了 |
Gambling Therapy の日本語ページには、ギャンブルの問題に関する情報とサポートがあり、自己チェックやオンライン支援への導線も用意されています。日本国内の相談先とあわせて、海外在住の日本語話者にも使いやすい場合があります。
遊んだ後にやること
終わった後の記録は、次の自分を守ります。
| 記録すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 開始時の予算 | 予定と現実の差を見るため |
| 終了時の残金 | 勝ち負けを曖昧にしないため |
| 追加したお金 | ルールが破れた場所を見つけるため |
| 滞在時間 | 時間の伸びを把握するため |
| 気分 | どんな時に危なくなるか知るため |
記録は反省文ではありません。自分を責めるために書くものでもありません。次に同じ場面が来た時、「これは前にも危なかった」と気づくための道具です。
賢く遊べない日がある
最後に、これだけは覚えておいてください。
責任ある遊び方は、毎日できるとは限りません。忙しい日、嫌なことがあった日、疲れている日、勝ちたい理由が強すぎる日には、遊ばない方が賢いことがあります。
「今日はやめておく」は、負けではありません。いちばん安い選択です。